サッカー

サッカーの育成年代における魅力について

Jリーグの試合なら年に数回、ファン・サポーターは(時には贔屓にしているクラブの試合であれば遠く離れた場所であっても)会場に足を運んで観戦します。

また何らかの事情で会場に行けない時があっても、DAZNやスカパーなどを通じて画面超しに試合観戦をするなど、常に動向をチェックしていることでしょう。

そんな人は傍から見れば、ただのサッカー好きを通り越して、とても熱狂的なファン・サポーターに思われるはずです。

しかしその中で、一体どれだけの人が育成年代の試合を観戦したことがあるのでしょうか?

毎冬に行われている全国高校サッカー選手権大会ならば、生観戦ないしテレビ観戦した経験のある人は多いと思います。

けれど贔屓にしているクラブの育成年代の試合となると、その数は一気に下がり、中には1回も観たことがないという人もいるのではないでしょうかことでしょう。

また観たことがあると言っても何年か前に1度といった感じで、Jリーグの試合のように定期的に観戦している人は全国的に見てもごく少数です。

かくいう私自身、過去を振り返れば

・Jリーグの試合のみ観戦
・育成年代の試合は近場で開催される試合に限り、当日の朝起きてから行こうか考える
・Jリーグの試合と開催日が被らず暇を持て余すくらいなら育成年代の試合を観に行く

などなど幾つかのステップを踏んだ上で、いつからか日程が被ろうが育成年代の試合を優先的に観に行くようになりました。

今回は、そんな私が育成年代における魅力を紹介し、1人でも多くの人に興味関心を持っていただき、ひいては会場に足を運んでみようと思ってもらうための記事です。

 

アカデミーが存在する意味とは

冒頭から失礼を承知の上で、当記事をご覧いただいてる方々に質問させていただきます。

そもそも何故Jリーグの各クラブにアカデミー(=育成組織)は必ず存在するのか?

別の言いかたをするならば、何故Jリーグの加盟条件にアカデミーを持つことが義務付けられていると思いますか?

 

自前で育てることにより将来的なトップチームへの選手輩出、ひいては1人でも多くプロで活躍する選手を、そして日本サッカーの強化を、、、だけが目的ではありません。

クラブのアカデミーに在籍しても、その中からプロになれるのは文字通り一握りの選手だけです。

だからこそサッカー選手としての成長だけにスポットを当てるわけにはいきません。

選手たちが自分で考え行動し、1人の人間として自立できるよう各クラブ、人間教育にも力を注いでいます。

「サッカーは少年を大人に、大人を紳士にするスポーツだ」の言葉にもあるように人としての成長が第一にあるわけです。

選手の多くは同時に学生でもあります。

そのためクラブと各学校は連携を取りながら多角的な視点で、人として、選手としての成長を促し、可能性を引き出そうとしています。

また試合会場となる施設や地域との関係にも気を配り交流が必要となってくるので、選手だけでなく指導者の養成などに努めていると言えます。

加えてJリーグの理念として地域密着を謳っており、各クラブその地域の中でどう生きていくかを大切にしなくてはいけないので、中長期的にみて育成だったり、サッカーの普及に力を入れているということになります。

以上のことから、Jリーグクラブが重視するのは結果だけではないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。

もちろんクラブスタッフ、ファン・サポーターを問わず、総じてクラブに係わる全ての人たちにとって確かにトップチームの勝ち負けは大事であり、そのプライオリティが高いのは事実。

しかし、育成年代含め注力すべき点は他にもあるということです。

ですので好きなクラブに対して試合を観て楽しむ以外に、プラスα育成年代に着目することで「育てる」という感覚を持つと、クラブとの付き合い方も深まるかと思います。

 

コスパが良く気軽に行ける

少し堅苦しい話をしましたが、ファン・サポーターの私たちにとって育成年代の良いところは何か?と考えた時、1つは気軽に試合観戦に行けることだと思います。

例えばJリーグの試合を観る場合、開門時間をチェックした上で待機列に並んで入場、またその前後にスタジアムグルメでお腹を満たし、試合開始1時間前には自席に戻って選手が出てくるのを待ち、いざ選手が出てきたら試合前のアップを観ながら少しずつ気持ちを高めていく。

そして試合開始直前に行われる各クラブが趣向を凝らした当日のスタメンならびにサブの選手紹介のムービーにより、気持ちが高ぶりすぎて眼から汗が出そうになったところで試合に臨むという流れになります。

ですが、2種(高校)、3種(中学)、4種(小学)といった育成年代の試合においてそのような演出は基本ありません。

時間になれば自動的に試合が行われるため、来場される方は試合開始に間に合えば良いといった感じで30~20分くらい前に来られる人が多いです。

今はコロナ禍で無観客試合が多いため、実際にJリーグで使用しているスタジアムを育成年代の試合でも利用し、観客自体を施設内に立ち入れさせないという策を講じることもありますが、以前は各クラブの練習場で行なわれることもありました。

このように殆どの試合が無料で観戦できるため、急に試合が観たくなってもチケットの心配をする必要はなく、フラッと行けるのが良いところです。

 

育成年代の試合概要

無料だし取り敢えず試合があるなら行ってみようかなと思う人にとっては、それが何の試合かはあまり問わないのかもしれません。

ただ「観に来てください!」と言っている側は、試合を選んだ上で観に来てくださいと言っています。

何でもかんでも試合があるから取り敢えず来てくださいと言うのは簡単ですが、練習試合だから来てくださいという人はまずいないでしょう。

せっかく観に来てもらうのであれば、公式戦を観ていただきたいものです。

では、その公式戦は普段どのような感じで行なわれているのか?

また年間を通してどのようなスケジュールになっているのか?

こうした試合の概要について、今回は2種(高校)をピックアップしてお話させていただきます。

年間スケジュール

まず年間を通じて行われるリーグ戦があり、次に夏に行われる大会があって、その上で各クラブのユース(U-18)なら秋に、高校なら冬にそれぞれ主要な大会があります。

言い換えれば年間で3つのタイトルが取れるチャンスがあるということです。

夏の大会

・クラブ⇒クラブユース選手権
・高校 ⇒インターハイ

秋の大会

Jユースリーグ

2019年までは秋に開催、2020年はコロナの影響により冬開催
2021年より変更⇒春先からリーグ戦を行なっていき、秋に決勝トーナメントで優勝を決める

冬の大会

高校サッカー選手権

リーグ概要

リーグ戦についてはクラブ、高校問わず一緒に試合をすることで切磋琢磨しています。

カテゴリー毎に全国、地域、都道府県と分かれていますが、私がいる神奈川県を例にすると1部~4部まであるため、1番下は神奈川県4部リーグという言いかたをし、全国的に見たら実質6部リーグに該当します。

因みに神奈川県2部以上は年間で18試合行ないますが、3部は9試合、4部は7試合となっています。

これは受験に備えるべく、夏ごろにはリーグ戦が終わるためです。

 

トップと育成の試合の違い

Jリーグの試合は楽しめるけど、果たして育成年代の試合は楽しめるだろうか?と不安を抱く人もいると思いますが、心配無用です。

上記で言ったように確かにJリーグの試合のような派手な演出はありませんが、メインコンテンツとなる試合自体は引けを取りません。

育成年代の選手も試合に向かっていく姿勢や目線はプロの選手と変わらず、場合によってはプロ以上の熱量をもって目の前の試合、相手にぶつかっていきます。

もちろんプロの選手のほうが、経験も豊富で精神的にも逞しかったり、技術やフィジカル面において優れているのかもしれませんが、私自身は観ていてそんなに気になりません。

あなたの近くにいる選手

観戦するにあたって、知っている選手がたくさんいたほうが楽しみが増えるという考えもあります。

ですが仮に今は名前しか知らない初見の選手たちによる試合だったとしても、その選手たちがこれからプロになり有名になったとしたら、世間よりも先にその選手を知ったことになります。

もし、有名になった際はドヤ顔して語ってください(笑)

育成年代から知っていた選手がトップ昇格をし、プロになって晴れてJリーグのピッチに立つ嬉しさ。

これもまた育成年代を観る醍醐味であり、トップチームに上がった選手に対する思い入れも増すばかりです。

また選手がプロになった際はオフィシャルサイトで発表されますが、その時はプロフィールをよく見ることをオススメします。

経歴を見ると実は出身校が一緒だった。

出身校が違ったとしても学区が近いため、地元が一緒なんてこともあります。

実際、過去にとある選手がプロになった際に発表された記事を見たら、私と出身中学校が一緒だったということがありました。

それまでは名前しか知らなかったのに記事で経歴を知った瞬間から妙な親近感が沸いてきて、ついユニフォームを購入し、予期せぬタイミングで推しの選手が誕生なんてこともありえます。

可能性を探るためにもネガティブよりポジティブ

何試合か観戦をしていると気付くかもしれませんが、育成年代の試合において「ブーイング」する人は基本的にいません。

選手は必死にプレーしていますが、真剣だからこそ、また未成年ゆえについ熱くなって歯止めが効かず、結果として危険かつ悪質なプレーをしてしまう時があります。

また試合状況によっては精彩に欠けたプレーをしてしまう時も。

観てる側としては、じれったい想いをし、そういう時に野次ったりしたくなる気持ちも分からなくはないですが、選手も人です。そして未成年です。

誰だって野次られて良い気分になる人なんていません。

テンションが下がるだけです。

野次って状況が好転するとも考えにくいですし、その際は大海原のように広い心をもって受け止め、檄を飛ばしたり、ポジティブな声掛けをすることで選手のやる気を引き出してもらえればと思います。

またコーチングスタッフも、どうすれば各選手がより成長できるかを日夜考えています。

2種に昇格した時はフィジカル面に弱みがあったFWの選手が、視野の広さには強みがあったため、ポジションを変えて中盤の選手として活躍するようになっていたという例もあります。

もしくは、育成時代は点取り屋だったのに、プロになって数年したらフィジカルの強さを活かし1対1に絶対の自信をもつディフェンダーになっていたとか。

そのように現場のスタッフだけでなく、我々ファン・サポーター自身も各選手の可能性を探りながら観るとより楽しめるようになります。

距離の近さ

試合会場においては全体的な印象ですが、トップチームよりも規模感が小さめのところのほうが多いです。

そのためピッチまでの距離が近く、故に選手の表情も見ることができます。

試合前はニコニコしていてまだまだ子供だなと思っても、いざ試合が始まれば一変して大人顔負けの真剣な眼差しを見せたり。

そして得点や勝った際の喜びや、敗れた際の悔しさや時に崩れ落ちる姿も印象的です。これらは選手たちの気持ちの表れであり、見ていて心に響いたり、伝わってくるものがあります。

 

情報収集は積極的に

Jリーグの各クラブは今やSNSを駆使し、毎日のように何らかの情報発信をして試合がない日でもクラブを身近に感じてもらい、ファン・サポーターを楽しませています。

それに比べると育成年代の話は、〇〇ユース、〇〇U-18といったトップチームと同じ名が付いているのにも関わらず、メディアでの露出は少なくなってきます。

人によっては試合がいつどこで行われているのか知らない、誰がいるか分からないというのが現状ですので、少しでも気になったら自分から情報をつかみにいく必要があります。

オフィシャルサイトは情報の宝庫

各クラブのオフィシャルサイトを覗いてみるとカテゴリーの欄に「アカデミー」、「ユース」、「U-18」のどれかが記載されてあり、そこで選手名鑑や試合日程などを確認することができます。

年代別の日本代表に選出された際はニュースとして掲載されることもあるため、将来有望と見込んで、まずは名前だけでも覚えておくと良いかもしれません。

トップチームに比べれば情報量は限られているかもしれませんが、今や国民総発信者と言われてる時代ですので試合結果など気になることがあれば検索してみると案外簡単に見つかる時もあります。

ユースサイト

因みに手前味噌な話で恐縮ですが、私自身は横浜F・マリノスというクラブが好きであり、ユースに関しては10年以上に渡って観続けています。

そうした中である時、クラブがやっていなければ自分がやればいいじゃないかと思い立ち、マリノスユースの試合結果を中心としたブログを運営しています。

他のクラブにも私と同じようにアカデミーに特化したブログを運営することで情報発信をしている人がいるので、どういう媒体があるか探してみると良いかもしれません。

 

まとめ

私たちファン・サポーターがクラブに対してできることって何でしょうか。

「できること」と言うとおこがましいと思う人もいるかもしれませんが、試合を観る、グッズを購入するだけでもクラブからしたら大変ありがたい話かもしれません。

ただ、好きな人に対して何かできることはないかと考えるのが人としての性であるならば、今回は対象が人ではなくクラブということになります。

好きなクラブを通じて楽しませてもらうだけでなく、一歩だけ踏み込んで共に歩むという視点から考えるのであれば、少しだけ視野を広げると育成年代が眼に入ってきます。

あなたの好きなクラブの未来を担う子たちです。

未来なくして夢は語れません。クラブにとってその子たちは夢を叶えるための何にも代えがたい財産になります。

その財産に目を向け、時に試合会場に足を運ぶことで、結果として日々の楽しみが増え、「サッカーのある生活」がより豊かなものになるかもしれません。

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